赤玉でたか。

ヤル気のないタクシー運転手の記録。
(営業区域は、東京都23区・武蔵野市・三鷹市)

線路も道路も続かなかった。

                        


 めっきり涼しくなった、埼玉県地方です。


今週は、台風15号に大いに荒らされて始まりました。


我が家周辺も嵐が吹き荒れ、夜中には雨・風の音で目が覚めるほどでした。


その朝、私は乗務なので、いつものように徒歩で営業所に向かいました。


途中荒川を渡りますが、さすがにいつもの静かな流れではなく、
まさに“濁流”といった感じでしたが、水位はそれほど上がっていないようでした。


そして、そこいらじゅうの鉄道が、始発から運転を見合わせていたため、
都心へ向かう幹線道路は大渋滞!



その歩道を通る歩行者・自転車も、普段よりはるかに多く感じました。


そして営業所に着き、いつもの時間に始業点呼を受けますが、
出勤できない乗務員多数で、タクシーが車庫にあふれていました。


            

                                  (最近新しくなったMY TAXI)


出庫してからは、まぁお客さんだらけで大忙しでした。


都心でも、倒木があっちゃこっちゃであったりして
通行止めになっているところもあり、今回の台風の威力をだんだんと
実感することとなります。


「そろそろ休憩するべぇか。」と思いはじめた14:30ごろ某所で挙手。


欧米人と思われる男性お一人と、お付きの女性お二人。


「成田空港までいいですか?」
(普段なら1時間半もあれば余裕で到着できるところです)


で、男性お一人がご乗車になります。


高速道路でしばらく進行し、まもなく大渋滞の中に飲み込まれます。


そうこう(走行の意を含む)しているうちに、あたりはだんだん暗くなり、
ついに夜になってしまいました。


そのころには高速道路を降り、一般道にはいっていましたが、
あたりは停電していて、信号もところどころ点灯していませんでした。


「これは大災害なんじゃないのか。」
「こんなところに、ヨソからクルマで来てはいけないんじゃないのか。」


と思い始めたころ、お客さんがさっきのお付きの女性と連絡を取り、
(私が英語を話せないことはご承知済み)


目的地までの飛行機はすでになく、空港周辺のホテルもすべて満室。
東京に戻るための鉄道も不通であるとのことで、このまま都心に戻ることになりました。


道中、お客さんは用を足し、食べ物を買い込んでいました。


私に対して、


「大丈夫かい?」
「お腹すいてないの?」

と声をかけてくださいました。


ようやく都心のホテルに到着したのは22:00をすぎていました。
7時間半もかけて、出発地から数kmのところまでお送りしたこの仕事。


達成感なんてまるでなく、残ったのは徒労感が大半でしたが、
別れ際にお客さんから握手を求められ、少し救われました。


千葉県内では本日(13日)10:40の時点で、およそ19万6900戸でいまだに停電が
続いているそうです。


被害に遭われた方々に対しお見舞いを申し上げますとともに、
少しでも早く普段の生活に戻られますよう、お祈り申し上げます。


なにごとも明日は我が身。



タクシーというのは、つくづく因果な商売だなぁと思う
今日このごろでございます。