線路も道路も続かなかった。
めっきり涼しくなった、埼玉県地方です。
今週は、台風15号に大いに荒らされて始まりました。
我が家周辺も嵐が吹き荒れ、夜中には雨・風の音で目が覚めるほどでした。
その朝、私は乗務なので、いつものように徒歩で営業所に向かいました。
途中荒川を渡りますが、さすがにいつもの静かな流れではなく、
まさに“濁流”といった感じでしたが、水位はそれほど上がっていないようでした。
そして、そこいらじゅうの鉄道が、始発から運転を見合わせていたため、
都心へ向かう幹線道路は大渋滞!
その歩道を通る歩行者・自転車も、普段よりはるかに多く感じました。
そして営業所に着き、いつもの時間に始業点呼を受けますが、
出勤できない乗務員多数で、タクシーが車庫にあふれていました。
(最近新しくなったMY TAXI)
出庫してからは、まぁお客さんだらけで大忙しでした。
都心でも、倒木があっちゃこっちゃであったりして
通行止めになっているところもあり、今回の台風の威力をだんだんと
実感することとなります。
「そろそろ休憩するべぇか。」と思いはじめた14:30ごろ某所で挙手。
欧米人と思われる男性お一人と、お付きの女性お二人。
「成田空港までいいですか?」
(普段なら1時間半もあれば余裕で到着できるところです)
で、男性お一人がご乗車になります。
高速道路でしばらく進行し、まもなく大渋滞の中に飲み込まれます。
そうこう(走行の意を含む)しているうちに、あたりはだんだん暗くなり、
ついに夜になってしまいました。
そのころには高速道路を降り、一般道にはいっていましたが、
あたりは停電していて、信号もところどころ点灯していませんでした。
「これは大災害なんじゃないのか。」
「こんなところに、ヨソからクルマで来てはいけないんじゃないのか。」
と思い始めたころ、お客さんがさっきのお付きの女性と連絡を取り、
(私が英語を話せないことはご承知済み)
目的地までの飛行機はすでになく、空港周辺のホテルもすべて満室。
東京に戻るための鉄道も不通であるとのことで、このまま都心に戻ることになりました。
道中、お客さんは用を足し、食べ物を買い込んでいました。
私に対して、
「大丈夫かい?」
「お腹すいてないの?」
と声をかけてくださいました。
ようやく都心のホテルに到着したのは22:00をすぎていました。
7時間半もかけて、出発地から数kmのところまでお送りしたこの仕事。
達成感なんてまるでなく、残ったのは徒労感が大半でしたが、
別れ際にお客さんから握手を求められ、少し救われました。
千葉県内では本日(13日)10:40の時点で、およそ19万6900戸でいまだに停電が
続いているそうです。
被害に遭われた方々に対しお見舞いを申し上げますとともに、
少しでも早く普段の生活に戻られますよう、お祈り申し上げます。
なにごとも明日は我が身。
タクシーというのは、つくづく因果な商売だなぁと思う
今日このごろでございます。
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